Howden Re:4月1日の更新動向は、中東情勢の変動の影響を受けず、引き続きソフト化傾向

2026年3月31日

 

ロンドン発、2026年3月31日– グローバル保険仲介グループであるHowdenの再保険・資本市場・戦略アドバイザリーのHowden Reによると、4月1日の再保険更改では、1月1日に見られたソフト化傾向が引き続き確認された。中東における地政学的混乱が、世界の複数のスペシャリティ種目(特殊なリスク)に強いストレスを与えている一方で、リスク調整後の自然災害リスクの料率水準は、2020年代初頭に見られた水準まで低下した。

日本の財物自然災害マーケット:ソフト化傾向が継続

日本における自然災害エクセス・オブ・ロス(Catastrophe Excess-of-Loss)プログラムでは、リスク調整後の価格が最大20%(中央値:16%)低下した。これは、世界的に財物自然災害マーケットが安定していることに加え、日本においても大規模災害損失が比較的少ない年が続いたことを反映している。

比例再保険分野では、財物サープラスや地震クォータシェア契約における手数料が2~5ポイント上昇し、特に地震クォータシェアではレンジ上限に近い条件が成立するケースが多く見られた。

「日本の料率は、概ね2020年代初頭の水準まで回帰しています」と、Howden Re アジア太平洋責任者のAndy Souterは述べている。「再保険会社の強い引受意欲、元受保険のパフォーマンス向上、そして大規模損失の発生が限定的であったことが相まって、今回の更改は出再者にとって有利な結果となりました。」

再保険会社は、日本市場における既存ポジションの維持を重視した規律ある引受姿勢を概ね維持した一方で、一部のキャパシティ提供者はシェア拡大の機会を引き続き模索した。需給バランスは全体として前年と大きく変わらず、プログラム構造も満期条件から概ね維持され、追加購入やプログラム構造の変更は限定的にとどまった。
 

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中東情勢の混乱:4月1日更改への直接的影響は限定的だが、マクロリスクには引き続き注視が必要

2026年2月下旬に実施された米国およびイスラエルによるイランの軍事目標への協調攻撃を受け、イランがホルムズ海峡の封鎖を宣言した。この事実上の海峡封鎖は、4月1日の財物自然災害更改には直接的な影響は及ばなかった。現在のマーケットの混乱は主にスペシャリティ分野に集中しており、具体的には船舶戦争保険(Marine War Risk)、エネルギー、ポリティカルバイオレンスといった種目において、キャパシティ価格が紛争発生前の数倍という水準まで高騰しています。

もっともHowden Reは、中東危機に起因するマクロ的な波及経路は、直接影響を受けているスペシャリティ種目にとどまらず、より広範な再保険マーケット全体に影響を及ぼし得るとしており、今後の動向を注視する必要があると指摘している。

「今回の更改は、湾岸地域における直接的な混乱の影響を受けない、比較的安定した財物自然災害マーケット環境のもとで実施されました」と、Howden Reのインダストリー分析および戦略アドバイザリー責任者であるDavid Flandroは述べている。「しかしながら、エネルギー供給ショックが長期化すれば、インフレ圧力の再燃や金利上昇につながるリスクがあり、これらは歴史的に見ても、紛争の直接的影響を受ける種目に限らず、再保険資本および価格形成全体に影響を及ぼしてきました。」

今後の見通し

再保険マーケット全体としては、今回の4月1日更改を通じて、再保険会社のバランスシートが引き続き健全であり、適切に設計されたプログラムに対する引受意欲も依然として強いことが確認された。地政学的な不確実性が高まる中においても、構造的な混乱なく更改が円滑に完了し、規律あるキャパシティ供給と出再者にとって有利な価格設定が実現したことは、マーケットが根本的に健全であることを示している。

今後を展望すると、2026年半ばの更改は、グローバルでより複雑な環境に直面することが見込まれる。ホルムズ海峡危機の全面的な影響が顕在化するにつれ、海上、エネルギー、ポリティカルバイオレンスといった種目では価格上昇圧力が強まると予想される。また、再保険会社はスペシャリティ分野における集積リスク、事象の定義および中東エクスポージャーの見直しを進める可能性が高い。

一方、財物自然災害分野については、年初から上半期にかけての損害発生状況に加え、エネルギー価格、インフレ圧力、金利動向、資本市場の変動といったマクロ要因の動きが、今後の料率の方向性を大きく左右する見通しである。

Andy Souterは以下のように付け加えた。

「再保険マーケット資本は依然として潤沢であり、市場は活発です。しかし、年半ばに向けて環境はより複雑化しつつあります。テクニカルな引受規律、透明性の確保、そして継続的なモニタリングがこれまで以上に重要となります。」